私たちの灯り

光陵生日常戯画 /嘉山絢音・佐々木唯・増子零士・森山愛里

 

「私たちの灯り」のページでは、チームメンバー(社員)の心の灯り(ワコムで働く思い)がつないでいくコミュニティーの方々の心の灯りを、作品を通して紹介しています。

今回は、埼玉県立大宮光陵高等学校の学生4名が制作した『光陵生日常戯画』を紹介します。大宮光陵高等学校は、普通科(含外国語コース)の他、音楽科、美術科、書道科の専門学科があり、学力と専門性を高める教育に取り組んでいます。ワコムの本社が同じ埼玉県にあることから、同校にて美術科学科長を務める松下俊先生と出会い、2023年より「ペンタブアートチャレンジ」という取り組みを行っています。

ペンタブアートチャレンジでは、ワコムが毎年開催するコネクテッド・インクをひとつの通過点に、学科を越えた共同制作、アナログとデジタルの表現の可能性などを探究しています。『光陵生日常戯画』は、ペンタブアートチャレンジ2024として、美術科と書道科の学生が共同で制作に挑戦した作品です。2024年11月に開催したコネクテッド・インク2024にて展示・発表されました。4人それぞれが描いた日常の一場面を洗濯ものに見立て、『光陵生日常戯画』としてひとつの作品に仕上げるまでにはさまざまな困難があったといいます。アーティストのみなさんに、制作の過程や作品に込めた思いを聞きました。

(左から)嘉山絢音『朝食図』、佐々木唯『お掃除図』、増子零士『遅刻カエル図』、森山愛里『あと5分図』。『光陵生日常戯画』では、洗濯ものを共通項とし、物干しハンガーを使って展示することでひとつの作品に仕上げた。

 

タイトル:光陵生日常戯画

アーティスト:嘉山絢音・佐々木唯・増子零士・森山愛里

制作アドバイザー:梅沢和木(アーティスト)

指導・助言:松下俊(大宮光陵高等学校 教諭 美術科学科長)

作品について: 「ペンタブアートチャレンジ2024」として、松下俊先生の呼びかけのもと、美術科と書道科から私たち4人が集まり、科を越えた共同制作に挑戦しました。ワコムのペンタブレットを使った制作は初めてで、使い方を先に学んだ美術科の二人から書道科の二人へと学びを共有するところからスタートしました。美術と書道という異なる専門性を持つ私たちですが、絵を描くことが好きという共通点があり、線の作り方や着想の視点、色彩の捉え方など、それぞれの得意を活かした制作ができたと思います。

作品のテーマは、コネクテッド・インク2024のテーマに同じく「日常」でした。哲学的に考え、悩んでしまうこともありましたが、高校生である自分たちならではの視点で、登下校や朝食といった普段の何気ない風景を描くことにしました。

試作の工程に入ると、それぞれの絵の雰囲気が全く違い、ひとつの作品としてまとめるにはどうすればよいのだろうと悩みました。しばらくの苦悶の後、松下先生から、鳥獣戯画の要素を取り入れてみるのはどうかというアドバイスをいただきました。日常の風景には人物が不可欠ですが、人物表現、特に顔の表現には個性が出ます。それがばらばらな印象を招いているのではないかと考え、人間を動物に代えて描いてみることにしました。制作アドバイザーの梅沢和木さんからの「上手い下手ではなく、テーマを大切に」という言葉にも後押しされ、表情や動作の表現により集中して取り組むことができました。

そうして描いたそれぞれの日常戯画を、ひとつの『光陵生日常戯画』という作品として仕上げるために、洗濯ものに見立てて展示することに決めました。洗濯は、日常の身近な行為のひとつで、洗濯ものを干す景色は極めて個人的で隠しておきたいものかもしれません。それをのぞき見してしまうような、どきどきするような感覚を、鑑賞者の方に感じていただけたら嬉しいです。また、私たち4人のそれぞれの個性を生かすという意味でも、洗濯ものという形で作品をまとめることができてよかったと思います。

アーティストについて:
嘉山絢音(大宮光陵高等学校美術科一年)
幼少期よりデジタルイラストに興味を持ち、小学生の頃からデジタルで絵を描き始める。特に人物を描くことが好き。動物をモチーフに描くことは珍しく、『光陵生日常戯画』では普段とは違う作風に挑戦し、その表現力と技術力を発揮した。将来、イラストを描くことを生業にできるよう、今後はより精緻なイラスト制作に挑戦したい。

佐々木唯(大宮光陵高等学校書道科一年)
小さい頃から絵を描くことが好き。友人が所有するペンタブレットを試したことから、デジタルでの制作に興味を持つ。『光陵生日常戯画』では、書道の筆遣いを活かし、筆圧を調整しながら、鳥獣戯画の実物に近い線質を表現できるよう努めた。今後は、色塗りの技法を学び、より完成度の高い作品制作に挑戦したい。

増子零士(大宮光陵高等学校美術科一年)
中学時代から美術に興味を持つ。高校でペンタブレットを使った制作を目にしたことから、デジタルでの制作に関心を抱く。『光陵生日常戯画』では、さまざまな色彩表現を試しながら、背景の色にバリエーションを持たせるなど、現代的な色彩の要素を取り入れた。デジタル制作でできる多様な表現を学びながら、今後はマンガを描いてみたい。

森山愛里(大宮光陵高等学校書道科一年)
ペンタブアートチャレンジ2024をきっかけにペンタブレットの存在を知る。絵を描くことが好きで、ペンタブレットで描くことは初めての挑戦でわくわくした。『光陵生日常戯画』では筆ペンツールを活用し、ディスプレイにペンで描くという感覚が新鮮だった。今後はデジタルで文字を書くことにも挑戦してみたい。

※Wacom One 液晶ペンタブレット 12/13 touchで制作。

※本記事は2025年1月取材時点のものです。

プロジェクト一覧

私たちの灯り‐光陵生日常戯画

大宮光陵高等学校が取り組む「ペンタブアートチャレンジ2024」から生まれた作品『光陵生日常戯画』を紹介します。美術科と書道科の学生4名が共同で制作しました。

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体験をキーホルダーに記録する

コネクテッド・インク2024にて、テーマ「日常」にちなんだキーホルダー作りを実施。ktymさんが制作したキービジュアルに登場するキャラクターたちをクリエイティブ・カオスで彩りました。

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高校生たちの挑戦

STEAM教育に取り組み、授業でワコムの液晶ペンタブレットを活用する聖学院高等学校。絵を描くことが好きな学生たちが中心となり、デジタル塗り絵のワークショップを開催しました。

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映画『グレート・グリーン・ウォール』を観て話そう

チームメンバーと社会や環境について考え、対話することを目的に、難民映画祭パートナーズ上映会を開催しました。

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ワコムの道具と技術の力で社会とつながる小さな接点を見つける

「ワコムの道具と技術の力で社会とつながる小さな接点を見つける」をテーマに、体験の場を通じた、社会やコミュニティーとの関わり方を探求する過程の記録を紹介します。

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Social Initiativesの現在地とこれから:5年間の取り組みを振り返って

Social InitiativesのこれからをワコムのMeaningful Growth(意味深い成長)につなげるため、CEOの井出とともに5年間の活動を振り返ります。

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私たちの灯り‐Focus: The Autistic Superhero Loves Comic Art!/Yvonne Wan

チームメンバーやコミュニティーの方々の作品を紹介する「私たちの灯り」。自閉症のスーパーヒーローを描いたYvonne Wanさんの作品を紹介します。

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森にかえる/コネクテッド・インク 2023

コネクテッド・インク 2023 のテーマは「森にかえる」。再び集まった仲間たちと一緒に、クリエイティブ・カオスの森にかえった記憶からいくつかの記録をお届けします。

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将来への可能性を広げ、希望をつないでいく「CREATEプログラム」

ワコム・カナダは、シスラー高校が提供する「CREATEプログラム」にパートナーとして参画し、クリエイティブ業界へのキャリアパス支援を目指した包括的な取り組みに携わっています。

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私たちの灯り‐Join The Journey/Arian Rahmatzai

チームメンバーやコミュニティーの方々の作品を紹介する「私たちの灯り」。ワコムでインターンを体験したArian Rahmatzaiさんが、日本をテーマに描いた作品を紹介します。

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クリエイターになりたい-子どもたちの未来を応援する1

クリエイターになりたいという子どもたちの夢はチームメンバーの心の灯りと重なり、多くの取り組みにつながっています。鹿児島県錦江町のアニメーション制作ワークショップに協力しました。

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クリエイターが安心して創作を続けられる世界を目指して/Wacom Yuify

目に見えないマイクロマークを作品に埋め込むことでクリエイターの創作の証を記録するサービス、Wacom Yuify。地域や文化によって異なるクリエイターの要望に応えようと開発を進めています。

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デジタルインクテクノロジーをより多くの人に届けたい/中国での取り組み

デジタルインクテクノロジーの認知拡大と普及を目指すInk Division。中国で唯一のプロダクト・マネージャーとして挑戦を続けるラニー・ジャンに取り組みに対する思いを聞きました。

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私たちの灯り‐昼下り海辺で/sammy

「私たちの灯り」では心の灯りをテーマにチームメンバーの作品を紹介してきました。今回は「かくこと」を軸にともに取り組みを進める神奈川県大磯町のアーティストによる作品を紹介します。

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誰もが創造力を発揮できる場を/ワコム・エクスペリエンス・センター

コミュニティーとの交流を目的に生まれたワコム・エクスペリエンス・センター・ポートランド。その旗振り役を務めるメーガン・デイビスの心の灯りとともにこれまでの成長を振り返ります。

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ただここで起こることがすべて/コネクテッド・インク2022

二つの大きな問いかけとともに開幕したコネクテッド・インク2022。東京で開催されたいくつかのセッションを紹介しながら振り返ります。

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私たちの灯り‐光を運ぶ風/棕櫚

「私たちの灯り」では心の灯りをテーマにチームメンバーの作品を紹介してきました。今回は「かくこと」を軸にともに取り組みを進める神奈川県大磯町のアーティストによる作品を紹介します。

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「かくこと」を支え続けたい/大磯町との取り組み

神奈川県大磯町とのコラボレーションは「かくこと」を軸に町全体の取り組みへと広がりをみせています。担当するクリエイティブBUの坪田直邦に話を聞きました。

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コネクテッド・インクという多面体の側面-2

チームメンバーの心の灯りを起点に、コネクテッド・インクという多面体の一面を覗いてみます。二人目は、Corporate Engagementを担当する桧森陽平です。

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コネクテッド・インクという多面体の側面-1

チームメンバーの心の灯りを起点に、コネクテッド・インクという多面体の一面を覗いてみます。一人目は、2016年から企画運営の中心的役割を務めるハイジ・ワンです。

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社会に存在する障壁を乗り越えるには?/コール・アンド・レスポンス

2021年9月、ワコムは、株式会社ヘラルボニーと一般社団法人コネクテッド・インク・ビレッジと共に、「コール・アンド・レスポンス」(呼びかけと呼応)という新たな取り組みを始めました。

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余韻の中に残るもの/コネクテッド・インク2021

当日行われた70近いセッションの中からオープニングとフィナーレを振り返り、コネクテッド・インク2021がもたらしたものについて考えてみます。

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私たちの灯りー“The spark of love” by Jacky Yang

「心の灯り」をテーマに、二回目となるアートコンテストを開催しました。思いもよらぬ出来事にさまざまな変化が起こる中、今、そして未来へと続くチームメンバーの心の灯りを作品を通して紹介します。

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問いを立て進み続ける/
コネクテッド・インク2020

「コネクテッド・インク2020」は、終わりなき問いを続けていくワコムの新たな覚悟であり、挑戦の始まりでした。

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物語をつないでいく舞台「ステージKOPPA」

コネクテッド・インク2020の舞台として制作された「ステージKOPPA」。多様な場面に応じて、形や役割を変化させ、そこで起こるさまざまな物語をつないでいくステージです。

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私たちの灯りー“Mam and Dad’s Child Interest” by Stella Wang

「心の灯り」をテーマに、二回目となるアートコンテストを開催しました。思いもよらぬ出来事にさまざまな変化が起こる中、今、そして未来へと続くチームメンバーの心の灯りを作品を通して紹介します。

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私たちの灯りー秋山でのひととき/山本高廣

私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマに、チームメンバー(社員)を対象にしたアートコンテストを開催しました。チームメンバーによる投票で選ばれた三作品を紹介します。

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ステイホーム期間中に小学生向けオンラインお絵描き教室を開催

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、外出自粛をしていた子どもたちに何か楽しい時間を提供したい。FC KAZOとイラストレーター・すいいろさんと共に、小学生を対象としたオンラインお絵描き教室を開催しました。

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サッカーを通じたワコムの新たな取り組み

FC KAZOと共にチームと地域を育てたい。ワコムは埼玉県加須市のフットボールクラブ「FC KAZO」のオフィシャルパートナーとして活動を支援しています。

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私たちの灯り-"The spark is in you! Mirror portraits during times of isolation" by Oliver Madlener

私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマに、チームメンバー(社員)を対象にしたアートコンテストを開催しました。チームメンバーによる投票で選ばれた三作品を紹介します。

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休校中の子どもたちにオンライン・スケッチノーティング講座

新型コロナウイルス感染拡大防止による休校中の子どもたちを対象に、ドイツのチームメンバーがオンラインワークショップ「Young Wacom」を開催しました。

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カスタマーサポートを通じてアーティストの「人生」を応援したい

アメリカでカスタマーオペレーションを担当するアレックス・ダフィーは、アーティストを支援する新たなプログラムを立ち上げました。このプログラムを立ち上げるきっかけとなったアーティストのデボン・ブラッグ氏との物語について、アレックスに聞きました。

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3.KOPPAのはじまり/
「旅するKOPPA」の物語

KOPPAのはじまりは2019年4月。伊藤さんの展示制作がきっかけでした。展示後も「また誰かに使ってもらえるものにしたい。」KOPPAに込められた思いをお聞きしました。

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2.もう、壊さなくていい/
「旅するKOPPA」の物語

自分たちで組み立てて、広げて、しまって、また一緒に旅に出る。壊すのが当たり前であった展示什器の在り方を大きく変えた「旅するKOPPA」が誕生しました。

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1.「KOPPA」との出会い/
「旅するKOPPA」の物語

建築現場の端材を活かせないかと、建築家の伊藤維さんの呼びかけで生まれた家具「KOPPA」。ワコムとの出会いは小さな偶然がきっかけでした。

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私たちの灯り-“That Spark Inside”
by Simone Wolters

私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマにアートコンテストを開催しました。作品を通して、チームメンバーが大切にしている心の灯りの存在を紹介します。

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未来のエンジニアたちにマーケティングの講義

東京工業高等専門学校で技術者を目指す学生を対象にマーケティングの講義を行いました。

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一台に最後まで責任を持つ
セールス担当の取り組み

高校生のデジタルコンテンツ制作支援のため、倉庫に眠るペンタブレットを高校のクラブ活動や学校対抗のコンテストの副賞として毎年贈呈しています。

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未来の教育を考える
ライフロングインク×AI

学習中の視線データとペンの動きから、生徒個人の学習特性を明らかにし、個人に合わせた学習環境を提供する「教育向けAIインク」を開発しました。

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授業をもっと楽しく、クリエイティブに
Wacom Intuosを学校に導入

ブルガリアで働くソフトウエアデザイナー、ヨアナ・シメノヴァは、子どもたちのITクラスをもっと楽しくしたいとWacom Intuosを学校に導入しました。

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サステナビリティに関連した当社の規範、
方針、体制等

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