ワコムの「かく」を支える技術に触れる
ケイ・ピー・ディと基板ワークショップを開催

 

ワコムのペンやペンタブレットの心臓部ともいえる基板。電子部品を取り付け、回路として機能させるための板状の部品です。2025年11 月、ワコム主催のイベント「コネクテッド・インク2025」にて、基板試作を専門とする有限会社ケイ・ピー・ディ(以下、KPD)とともに、基板をテーマにしたワークショップを開催しました。

基板技術でつながるワコムとKPD

ワコムとKPDは、ペンやペンタブレットに使用される基板の試作を通じて、15年以上にわたり協業を続けています。その中で、ワコムのペンエンジニア・山口登は、KPDが取り組む「基板アート」の存在を知りました。

「基板アート」とは、基板の技術に遊び心をプラスし、アート作品として表現する取り組みです。「基板のことをもっと知ってもらいたい」という、KPD代表取締役・加藤木一明さんの思いから生まれました。今回のワークショップで制作したバランストンボもこの基板アートのひとつです。

ある時、加藤木さんからいただいたこのバランストンボをきっかけに、KPDの基板への深い情熱とユニークな取り組みを知り、コネクテッド・インクでのワークショップが実現しました。

基板を知って、楽しむワークショップ

ワークショップでは、KPDオリジナルのプリント基板を使ったバランストンボ作りを実施しました。

はじめに、基板への理解を深めるため、山口がワコムのペンに使用されている基板について解説。細長いペンの形状に合わせた基板設計の工夫や難しさなど、技術的なポイントを紹介しました。続いて、KPD・加藤木さんから基板の試作の流れや、その面白さについてお話いただきました。実際の基板を見て、触れることで、基板技術への関心を深める機会となりました。

バランストンボの制作工程はシンプルです。ニッパーを使ってトンボの胴体と2枚の羽をカットし、胴体の切り込みに羽を差し込めば完成です。しかし実際に作ってみると、カットの仕方や差し込み具合によって重心が変わり、一体一体バランスの異なるトンボが出来上がります。

完成後は、オリジナルの木の台座や「Wacom Intuos Pro」のペンに乗せるバランスチャレンジに挑戦。特にペンの芯先に乗せるチャレンジは難易度が高く、大いに盛り上がりました。子どもも大人も夢中になって、コツを共有したり、成功を称え合ったり、会場全体が一体感に包まれました。

また会場では、ワコムのペン基板の中で最小幅となる2.7㎜の基板も回覧。普段目にする機会の少ない基板を、拡大鏡で細部まで観察する姿も見られ、基板技術への興味を深めるきっかけとなりました。

       
       
       

エンジニア的思考を育むバランストンボ

ワークショップを終えて、山口は「どうすればよくなるのだろうというエンジニア的な思考が自然に生まれていた」と振り返ります。自分で作ったバランストンボを試しながら、「なぜ傾いてしまうのだろう?」と疑問を持った参加者が、羽の差し込み具合を変えたり、やすりで削ったりと工夫を重ねる姿は、試行錯誤を通じて改良していくエンジニアリングの基本的なプロセスと重なるといいます。

ペンの内部に搭載されている基板の技術は、普段はなかなか目に触れることのない存在です。しかし、ペンを動かすために欠かせない重要な技術でもあります。バランストンボを通じて、その基板の役割や面白さを伝えられたことは、エンジニアとして大きな喜びにつながりました。

KPDとワコムによる基板の探求は、これからも続きます。コネクテッド・インクを通じて感じたKPDの基板への深い情熱に触発されながら、ワコムはこれからも「かく」を支える技術の進化を目指し、開発を続けてまいります。

     

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